園長通信

「自ら育つ力を支える」(3月16日)

「自ら育つ力を支える」

 

29年度終了

本日で、29年度が終了し、明日の卒園式を残すのみとなりました。この何日か暖かい日が続き、園庭のサクラの芽も膨らんできています。4月になれば立派に成長した年長組のみんなの入学を祝福してくれるのだと思います。

この1年、あるいは3年を振り返られて、保護者の皆さんは我が子の成長をどのようにお感じになりましたか?愛しているからこそ、とても心配になったり、逆に少しの成長を本当に嬉しく思ったりする瞬間が代わる代わる訪れたのではないかと思います。ただ、間違いないことは、どの子も保護者の皆さんや先生たちの愛情に支えられながら、それぞれに自分の良さを伸ばしつつ、友達と関わリ合いながら確実に成長しているということです。そして、その成長はご家庭で愛情深く支えられた保護者のみなさんのがんばりと担任をはじめ全ての教職員のがんばりがあったからですが、なんと言っても一番がんばったのはやはり本人(子ども)だと思います。

昔の古い教育の考え方では社会に出てから子どもが困らないように知識や技術を無知な子どもに教え込むことが良いとされてきました。しかし、現代の教育では脳科学等の発達や乳幼児期の研究が進み、子どもはお母さんのおなかに居る頃から様々なことを学ぶとても有能な存在であることが分かってきました。ですから、私たちは子どもが持つ「自分で育つ力(主体性)」を信じることがとても大切になりました。

少し想像してみて下さい。我が子が木登りをしようと頑張っているとします。その我が子に対して「危ないからやめなさい」と言うか、すぐそばで心配そうな顔で手を差し伸べてすぐに助けられるようにするか、本当は心配なんだけど「大丈夫。きっとできるよ」と笑顔で見守るか・・・。もちろん、本当に危険なことは止めないといけないのですが、信頼する大人から信じてもらえず、止められたり、心配そうな顔で見られていたら、子どもは自分自身を信じることができません。周囲の大人の眼差しや基本的なスタンスが子どもの成長には大きく影響します。機会があれば春休みにお家でポートフォリオを一緒に観て「1年間、よくがんばったなあ。」、「○○ちゃんが居てくれて幸せよ」、「楽しかったなあ」など、お話し頂ければ、子どもも自分に自信を持つことができると思います。来るべき、新年度で多少の不安はどの子も持って当たり前ですし、クラスが変わるから成長する部分も大きいと思います。それを乗り越えるためにも親子で「よかったね。がんばったね」という気持ちになれるようによろしくお願いいたします。

 

アンケートの結果から

先日実施しましたアンケートではご協力ありがとうございました。私たちの気づかないことを教えていただいたり、勇気づけられたりと貴重なご意見を本当に有難うございます。

「1.せんりひじり幼稚園の教育について・・・」の設問で、とてもよかった・よかったの合計が97.4%というとても良い結果になりました。園の教育方針をご理解いただき、子どもが

 

 

のびのびと育ったことや子どもたちの成長を支える教育活動に対して評価をいただきました。しかし、一部の保護者の方からは厳しい意見も頂戴していますし、不十分なことや解決すべき課題もあります。又、入園されてから園の教育方針をご理解いただけるように努力がまだまだ必要だと感じましたし、そもそも入園前にもっと丁寧に説明したり、逆にご家庭の教育方針を伺って園と家庭との方針に違いが大きい場合に話し合うことも必要だと感じました。

「2.園の方針や保育の意図などはご理解いただけましたか?」の設問では、とてもよかった・よかったの合計が98.4%という、アンケートを取り始めて以来の大変良い結果になりましたが、新入園された年少の保護者の方々への説明や情報提供を丁寧にしていく必要を感じます。例えば「少しだけ字や数字の勉強をしてほしい・・」や「運動会でもっとできると思う、午後も観たい。」「年中や年長の劇のセリフが聞こえない、こちらが楽しんで見れるレベルではない・・」など、子どもの興味関心を考慮せず一斉にできたかどうかで評価をするような、まるで義務教育の学校のようなことを求めておられるご意見もありました。幼児教育は「見えない教育」と昔から言われていてその成果が直ぐには分かりません。4月から実施される幼稚園教育要領の中ではポートフォリオあるいは育ちの可視化という言葉が初めて取り上げられました。ひじりでは何年も前から取り組んでいて、保護者の皆さんに幼児期の子どもの育ちをお伝えしていますが、初めてのお子さんが入園されたご家庭等には特に丁寧にお伝えしていきたいと思います。

尚、「こども園になって・・・」という前置きでひじりの教育方針が変わったと書かれておられる方もいらっしゃいましたが、「子どものよりよい育ち」を一番大切にするという方針は1ミリも変わっていません。方針が変わったと感じておられる方がいらっしゃるようですが、保育の理念は変わりません。こども園という施設形態になったことで教育機能に付加して福祉の機能も合わせ持つことになり、結果として支援を要する子に丁寧に対応できるようになったり、看護士さんを配置できるようになったり等様々な面で教育の質は向上したと思います。

ただ、それは保育が変わらないということではありません。社会や子どもの変化に合わせて、学習指導要領や大学入試の形態も変わるように教育も変化していきます。ひじりの保育も年々進化し続けていますので、お兄ちゃんやお姉ちゃんが在園されていた頃とは変わっている点もあります。しかし、それは園の理念として「子どもの育ち」をまんなかに置いて実施してきた結果変化しただけで、保護者方に喜ばれるからという理由ではありません。

例えば、来年度はにじいろ保育園の2歳児みかん組の子ども達が3歳に進級するにあたりほぼそのままのメンバーで3歳児のひよこ組になります。しかし、それは保護者の方からの要望ではなく2歳児から3歳児に進級するときの変化は大人が思った以上に大きく、その変化を最小限にするためには慣れ親しんだ友達が同じクラスにいるということがとても重要になります。このように子どもの状況から園として判断してのことで、逆にみかん組の保護者の方からはみかん組の進級児だけで3歳児のクラスを編成することに反対のご意見もありました。その理由としては子ども達の関係の広がりもありますが、お兄ちゃんが在園してた方は、たくさんの良いお母さんに出会えて、母としてたくさんのことを学べたことをとても感謝されていたり、仕事と子育ての両立を応援してくださる素敵なお母さんに出会われたからでした。

「働いている、働いていない」という違いが重要なのではなく、ひじりの教育方針に賛同いただいた保護者のみなさんと共に「子どもが本当に幸せな子ども時代を生きることができるように」理想的な幼稚園をめざして努力し続けることが何よりも重要だと思います。

 

 

29年度末アンケート集計結果

※数字の上段は今年度の数値、下段は昨年との比較

  1. せんりひじり幼稚園の教育についてはどのようにお感じになりましたか?
  2. ・とてもよかった   ・よかった  ・どちらとも言えない ・よくなかった
71.6%      25.8%      2.6%    0%

+0.4       -0.1      +0.2   ―0.5

 

  1. 園の方針や保育の意図などはご理解いただけましたか?
  2. ・とてもよく理解できた ・理解できた ・どちらともいえない ・情報や説明が不十分
59.5%     38.9%   1.1%     0.5%

-0.4      +2.6   -1.7     -0.4

 

3,園でのお子様の様子や成長はよく分かりましたか。

・とてもよく理解できた ・理解できた ・どちらともいえない ・情報や説明が不十分

56.3%     38.9%     3.7%    1.1%

+1.6      -2.1      +2.8     -0.3

 

4,室内環境(おもちゃや教材、絵本を含む)はいかがでしたか?

・とてもよかった   ・よかった     ・ふつう    ・よくなかった

53.6%     42.2%   4.2%     0%

+8.8      -6.9   -1.0     -0.9

 

5,屋外環境(園庭、裏庭等)はいかがでしたか?

・とてもよかった   ・よかった   ・ふつう   ・よくなかった

62.8%    32.5%    3.1%   1.6%

+10.0     -8.5    -1.1   -0.3

 

6,PTA活動はいかがでしたか?

・大変楽しめた   ・楽しめた  ・どちらともいえない ・楽しめなかった

25.3%   47.9%    24.7%     2.1%

-2.5    -0.2      +3.0     -0.3

 

7,給食はいかがでしたか?(メニュー、当番など)

・とてもよかった   ・よかった   ・ふつう   ・よくなかった

60.5%    36.8%    2.1%   0.5%

+5.8    -4.7     -0.3   ―0.9

 

8,送迎についてはいかがでしたか?(子どもにとって)

・とてもよかった ・よかった   ・ふつう    ・よくなかった

56.1%  33.9%    8.8%    1.2%

+1.4   -7.6    +6.4     -0.2