副園長の子育て応援通信

「話し合い」を話し合う(9月号)

年少組の時はそれぞれの「やりたい」思いが違ったりするので、一人一人の思いを大切に受け止めます。そうすることでもらうことで心が満たされ、自信や自己肯定感が育ちます。年中では友達と一緒にするのが楽しくなってきます。一緒にするのですから、当然よくケンカや言い合いが起こります。これも大切な経験です。何度も友達とぶつかり合いながら少しずつ調整する力を身に付けていきます。そして、年長になると、もっと多くの人数で、作り上げたり競争したりすることが面白くなっていきます。そうなると、当然自分の意見を出したり友達の意見を聞いたりしてみんな合意を得ながら決めていく必要性が出てきます。今、年長組ではまさに運動会に向けて毎日話し合いが繰り広げられています。担任たちは、その話し合いの行き先を見守りますが、実はこれが結構難しいんです。

そこで先日の園内研修では、子どもたちの「話し合い」について職員で話し合いました。

「子どもたちが話し合う必要性を感じているか」

「話し合いによって子どもたちはどう育つのか」

「保育者の役割は?どう投げかける?どうフィードバックする?」

「話し合いの交通整理が必要」

「自分たちで壁を乗り越える経験が大切」

「自分たちで決めたと実感してほしい」

「自分たちで決めたことが「できた」という経験が大切」・・・

運動会は、一人でできないことをみんなですることが多いので、一人一人が大切な存在だということを感じるいい機会。集団の中で大切な一人になれるように。そのために、子どもたちが必要だと感じたときに話し合いを提案する、もしくは子どもたちの中から「話し合おう」を待つことも必要だという話が出ました。運動会では体力だけではなく、考える力・問題解決能力・見通す力・協力する力・挑戦する力その他大人が予測する以上の力が育っていきます。

何が正解かはわかりませんが、「話し合い」を話し合ううちに、何かしらの方向を保育者それぞれが見い出し、自分たちの保育に生かしていくことになります。このように、私たちせんりひじり幼稚園の保育者たちは、よく話し合いながら高めあったり合意したりしながら保育を進めていきます。

そして、このような私たちの保育や研修風景を見に、様々な方々が見学に来られます。大学の研究者・大阪府の教育庁の方々・他の幼稚園の現場の保育者(北海道や鹿児島など遠方からも・・・)など。そしてよく、「先生方皆さんが、活発に話し合いをされる事に驚きました。」とのお言葉をいただきます。「どうやったらこんなに保育者同士で話し合う土壌ができるのか。」と聞かれますが、お互いの考えや思いを大切にしてきたからでしょうか。それぞれの考えを出し合い、理解しあい、合意を得ながら進めていくことで、同じ方向を向いて保育していくことができます。職場の組織も幼稚園のクラスもそして家庭でも、みんなで決めていくことで、自分が生かされていることを実感できるのではないでしょうか。

といってもいつでも何でも話し合うというのはちょっと違って、「自分の考えを聞いてもらいたい。」「みんなの意見が聞きたい。」「話し合って決めたい。」という思いがあふれてきた時が話し合うチャンス。筋書きのない「話し合い」は面白いけど・・・難しいです。