「子どもを支えるパートナー」(4月号)
入園や進級して2週間経ちました。環境が変わるのは、大人にとっても子どもにとっても不安ですよね。そんな子どもの不安な気持ちを大人がちゃんと受け止めて、「心配だったのね」「おかあさんといっしょにいたかったよね」「それがやりたかったのね」・・・と、代弁してあげたいですね。自分の思いを肯定的に受け止めてもらったことで子どもは心に余裕が生まれます。そして安心して夢中に遊べる物や場所を見つけていきます。今、幼稚園のあちこちから先生たちの優しい「受けとめ言葉」が聞こえてきます。そんな中でいると、こちらまで居心地の良さを感じます。そして、日に日にいろいろな表情を見せてくれて自分を出してくれるようになってきた子どもたちを見ると、嬉しくなります。
先日の親睦会では委員決めのご協力ありがとうございました。働いている保護者の方とそうでない方や、妊婦の方や未就園児のいる方などそれぞれの立場の方がいらっしゃいます。新旧の役員さん方が、時間をかけて(ホントに丁寧に)、それぞれの立場の方のことを考えて活動内容や係のことを見直してこられました。その優しく細やかなお心遣いに頭が下がります。
PTA組織をどう運営しているのか、他の幼稚園の園長先生方に時々聞いたりしますが、「何かともめ事が起こりがちなので、縮小しています」とか、中には「PTA組織をなくしました」というところもあります。保護者の方はその方が楽だなと思う方もいるかもしれません。でも、保護者の活動を通して保護者がつながり、関係性が深まり、そのことが結果的に子ども同士のつながりや絆に影響し、育ちを後押ししていることを私たちは非常に実感します。
神戸大学の北野幸子先生によると、新しい教育制度の課題の一つに 親の就労形態にかかわらず子どもが翻弄されない社会の実現が新システムでは目指されているとのこと。そして家庭と園が連携すると、子どもにどんな影響があるかが様々なところで研究されていますが、その中でもカナダのトロント大学のコーター先生の研究では、園が積極的に保護者と協力すると、子どもたちにポジティブな育ちの影響が出るということです。3年間のトロント市の継続研究で、学力と自己肯定感に関して調査したところ、3年前は平均より10ポイントも低い地域の園や学校が、保護者との協力によって子どもたちの社会情動的発達や学力が平均より10ポイント近く高いスコアに変わったという結果が出ているということです。保護者同士が連携したり、園が子育て支援の拠点となって保護者が子育てについて学んだり、子どもの育ちや発達を知ることが出来る日常的なコミュニケーションがある事が大きな影響を及ぼすようです。お互い子どもを育てるパートナーとして家庭と家庭・家庭と園の連携が大きなカギを握っていると言ってもいいでしょう。
子どもたちの非認知能力の中に「自制心」があります。これは大人が「我慢しなさい」とか「こうしないとダメ」と言われて育つモノではなく、自分と周りとの関係性や状況を見て、自分がどうしたらいいかを判断していく力ですが、保護者の方々の活動もモデルとなっていることを感じます。どうかこの一年、共に子どもの育ちを支え見守っていきましょう。宜しくお願いします。