「ご入園おめでとうございます」
号外
幼稚園での生活がスタートしました。
本日はご入園おめでとうございます。例年よりも桜の開花がゆっくりだったおかげで満開の桜が子どもたちの入園を祝福してくれているようです。
今日の様子をご覧になって、安心された部分も「明日から大丈夫かしら?」、「朝、泣いたらどうしましょう。」とご心配な部分もたくさんあると思います。私も20数年前に長男の入園式のことを今でもよく覚えていますが、「幼稚園の入園式」という甘い、楽しいイメージを見事にこわされた思い出があります。意気揚々と幼稚園まで来たのですが、入園式の写真で近所の仲の良いお友達と隣になれず、大泣きしてしまいました。暴れる息子を家内が抱きかかえながら、夫婦で苦笑いをしている記念写真が残っていますが、今となっては良い思い出となりました。そして、「あれが、息子の集団での教育のスタートなんだなあ。」と思ったり、「こだわり=意思の強さ」が息子の長所でもあるなあと今となっては思います。その時はぜんぜん思えませんでしたが(笑)。先月には同じホールから年長児が卒園していきましたが、泣いてお母さんから離れられなかった子ども達が、部屋になかなか入らなかった子ども達が・・・それぞれに、その子の良さを伸ばし、友達と過ごすことの喜びも経験し、立派に成長して卒園していきました。子どもたちは大人に比べると経験も知識も体力もありませんが、大人よりも柔軟に環境に順応し、自ら学んでいく力を生まれながらに備えています。子ども達が幼稚園に慣れるまでのしばらくの間、(子どもによって慣れるまでの期間が違うのでどれくらいというのは一口には言えませんが)温かい目で見守って頂ければと思います。
そして、一日入園の話とも重なりますが、お願いしたいことが2つあります。
1つ目は、他の子の様子を見て「○○ちゃんはもう△△なのに・・・うちの子は・・・」というような、他の子どもとの比較を決してせず、その子自身の成長を長い目で見守っていただければと思います。1週間のうち5日泣いていたのが4日になっても成長ですし、昨日1時間泣いていたのが今日は3分間短くなったのも成長だと思います。また、見方を変えると、「泣き続ける子は、あきらめない子なんだ。」とも言えますし、「最初は園で泣かなかった(泣けなかった)のに先生に対する信頼感を持てるようになって初めて泣けるようになった。」ということも言えたりします。子どもの成長は右肩上がりで一直線に上がっていくものではなく、行きつ戻りつしながら、波を描くようにそれでも確実に成長していくものです。どうか、温かいまなざしを向け、優しい言葉をかけ、長い目で成長を見守ってあげてください。
2つ目は、泣く(あるいはぐずったり、わめいたり)というようなときは、子どもの豊かな感情とその感情のおさめ方が育つチャンスであると思っていただきたいということです。大きくなって切れやすくなったり、あるいは感情をコントロールできなくなったりすることの原因として、幼児期に自分の感情に細やかに付き合ってくれる大人が居なかったことが言われています。子どものいやな気持ちにふたをするのではなく、まずその気持ちを受け止めていただけたらと思います。
この3月には立派に成長し卒園していく子どもたちを見て保護者の方々は涙を流されていました。「入園の時に子どもたちが泣き、卒園の時は立派に成長した我が子を見て保護者の方々が泣く。」そんなすばらしい時間を子ども達が幼稚園で過ごせるように、たくさんお話をさせて頂きながら、共に子どもたちの成長を喜び、そして考えたいと存じます。
明日からは、笑顔で子どもを送り出していただき、毎日、家で今日あったいいことや嬉しかったことをひとつでもふたつでも自分で話す時間を作ってあげて下さい。子どもは明日への期待感や自分に対する自信や自分を好きになる感覚を持つことができるでしょう。
幼稚園では、最大限の配慮をして毎日子ども達を迎えたいと思いますので、安心してお預けいただければと思います。また、何か、困られたことや相談があれば気軽に園までご相談下さい。