副園長の子育て応援通信

「子どもの「好き」を大事に」

雨上がりの日は、子どもたちは朝から泥んこ用の服に着替えて園庭に飛び出していきます。
柔らかくなった土の上に乗って、思いっ切りぐちゅぐちゅの感触を楽しんだり、手に乗せてぺちょぺちょ・むにゅむにゅ・・・の感触を楽しんだり、「あんこ、どうぞ」とべっとりした泥を手に乗せて差し出してくれたりします。泥をぎゅっぎゅ!と握って固め、さらさらした砂をかけて少しずつ泥団子を大きくしている子もいます。熟練した子になると、大きくてかたい団子を作るために丁寧にさらさらの砂をかけ、慎重に力を加減しながら丸めます。そんな最中は話しかけてもこちらを向かずにひたすら団子に向き合っ ています。出来上がると大事にプリンカップや箱に入れます。そうなるともう立派な「作品」です。落と して壊れて泣いてしまうこともあります。でも、また次の日に作ればもっといいのが出来る事もある。そして「割れても大丈夫」「またできる」の経験を重ねていきます。何個も何個も作っていくうちに手先の使い方も器用になっていきます。土の湿り具合や砂の量や力の加減を微調整する科学者のような・・・時 には技術者のような目線が素敵すぎて、十分にそんな時間を保証してあげたいと思います。
思う存分させてあげたいのは、そういった活動の中で、子どもが自分の力で体得した宝物のような経験が積み上げられていくからです。心を動かし、頭で考え、体を使って、「土」や「泥」や「水」といった変化し続ける素材を理解していくわけです。
夏に向けて、古くなったホームページや入園案内・コンセプトブックのリニューアルの準備をしています。更に、50 周年記念誌や、せんりひじり幼稚園のこれまでの研究や歩みをまとめた本も発刊予定です。
そして先日、ホームページの制作会社の方のご紹介で、イラストレーターのミウラナオコさんに出会うことが出来ました。ミウラナオコさんの描くイラストはどれも素敵で心に響きます。「言葉にできない気持ち」をイラストで表現できる方で、私たちの思いにぴったりのイラストを描かれます。本や冊子のイラストの依頼をすると「一度どんな幼稚園か見てみたい。」とのことで、先週東京から見に来られました。ミウラナオコさんは、カメラを片手に、面白いものを見つけた時の子どものようなキラキラした目で、泥んこ遊びの足跡・いっぱい拾い集めたザクロの花・お団子の山・ちぐはぐに脱ぎ捨てた上靴などを「かわいい・かわいい」と言いながら撮っていました。そんなミウラさんのブログのコメントが素敵なので紹介します。

ミウラナオコさんのブログより・・・ひじり幼稚園で感じたのは「見守る存在のあたたかさ」全てからなーんかあたたかく見守られている感じがした。園の子どもたちも、その安心の中で「それぞれのかたちをした自分」を出しているんじゃないかなあ。自分の「好き」を大事にされるって大切なことだよね。ここ数年で、私がイラストや写真で発信したいと思っていたことは「自分が好き」と思える事の大切さなんだけど、せんりひじり幼稚園はそう思えるための「小さなきっかけ」にあふれている気がした。