「子どものつぶやきから始まる保育」
先日、大阪府の私立幼稚園連盟企画の海外視察研修に行かせていただきました。
急激に発展しているシンガポールですが、幼児教育に非常に力を入れて2013年にSPARKという評価の枠組みを導入したことにより保育の質も急激に向上するという実績を積んでいました。5つの幼児教育施設を視察し教育省のトップのレクチャーを受ける事も出来、大変刺激を受けました。主任の小野寺敦子先生と一緒に参加しましたが、二人であやこや言いながら、せんりひじりの保育と比較しながら幼稚 園を見ることができ、参考になりました。
室内環境や屋外環境も工夫されていて、子どもが作った作品の見せ方がオシャレで、理念や保育内容の伝え方もわかりやすく、保護者の方も理解しやすいだろうなと思いました。一番すごいなと思ったのは、子どもたちの姿やつぶやきから始まるプロジェクト保育です。例えば、園内に蜂が巣をつくり「蜂蜜を食べたい」という子どもの声がきっかけで、蜂の生活や巣の構造を調べ、巣からはちみつを収穫しクッキーを作ったという素敵なプロジェクト活動や、嵐で倒れた木をそのままにしていたら子どもたちがそこで遊び始め、「うちのお父さん力持ちだからこの木を運んでくれるよ。」という子どもの声がきっかけとなり、保護者の方々の協力で素敵な森の遊び場に発展していったり・・・。子どもの考えやつぶやきを大切にしているところはせんりひじりと同じだなと思いました。違うなと感じたところは、話し合いの機会が断然せんりひじりの方が多いということです。個々の力を伸ばすと同時にみんなのアイデアや考えを結集して関係性を大切にしながら話し合ってモノづくりをしている点でしょうか。もしかしてとても高度なことを しているのかも・・・と感じました。
バナナ組では先生と子どもたちが段ボール紙で美味しそうなロールケーキを作っていました。すると子どもの中から「カフェやさんやりたい」の声が。それから、お金を作り始める子、お金を入れるレジを作る子、そしてスーパーまで作り始めて・・・子どもの発想はどんどん広がっていきます。先生は子どもたちの製作が広がっていくように様々な素材を用意します。一方、年長組では、クラスで話し合いをしながら一つのお店に仕上げつつあります。失敗しながらもアイデアを出し合いながら進めていく姿は頼もしく、 育ってるなあ〜を多々感じます。
先日の園内研修では、どこまで子どもの考えを待てばいいのかなどを考えました。子どもたちからどんな考えが出てくるのか、いつ出てくるのか予測しながら先生たちは環境の準備をしておきます。子どもが何を考えているかそれにどのように向き合えばいいのか・・・正解はないのですが、つぶやきを聞きながら、懸命に見つめ考えている先生たちがいる。そんなまなざしの大人がいる環境がステキだなと感じました。
ご家庭でも子どもの興味に合わせて、物を用意をしたりその場所に連れて行ったりされている話をよく聞きます。保護者の方も大変だろうなと想像しますが、労力や時間を惜しまずに子どもの興味につきあってあげることが必ず子どもが育つ糧になっていると思います。子どものために工事現場で数時間もじっとミキサー車を一緒に見ていたり、虫を探しに山の奥まで入ったり・・・自分が今までしなかった経験を親になって初めてすることもあったりしますよね。親って健気な生き物だと思いませんか。